あなたは今、まだパソコンがそれほど普及していなかった時代に生きていて、
自分が勤めている会社に「Microsoft Excel」を導入させたいと考えています。
【課題】
会社の重役たちを説得できるような企画書を、A4用紙2枚以内にまとめて作ってください。
【条件】
- ・あなたが勤めているのは製鉄会社です。
- ・業務内容等は、自由に考えてください。
- ・読み手は、Excelのことをほとんど知らないと想定してください。
- ・その他、課題に示されていない情報でも、あなたが必要だと考えれば自由に付け加えてください。
- ・文章量は2ページ以内(1行35字以上 × 1ページ30行以上の設定 / ※文字数カウントページ)
【ヒント】
「まだパソコンがそれほど普及していなかった時代」に生きている人間が、「文章の読み手」であることを、強く意識してみましょう。
また、「読み手」の状況を深く想像してみてください。
重役達にとって、企画書が手元に届いたときの状況はどういうものか。
そのとき、どういう情報が盛り込まれていれば、企画を採用しやすいか。
「書き手の都合」だけではなく「読み手の思惑」も考慮して、文章を構成してみましょう。
【課題の狙い】
人間は、自分がすでに身に付けてしまったことに対して、「相手がどれくらい分からないか」を想像するのが苦手です。
たとえば、自転車に乗れるようになってしまうと、自転車に乗れなかったころの気持ちを想像するのが難しくなります。
これは、よく「知識の呪い」と呼ばれる現象です。
自分にとって既知になってしまうと、まだ「未知の状態」に置かれている人の気持ちを察しにくくなってしまうのです。
そしてこれは、文章を執筆するときに、頻繁に起こる現象でもあります。
なぜなら、
書き手だけが分かっていて読み手はまだ知らない、という「知識差」がある状態で文章を書くことがとても多いからです。
(読み手がすでに知っていることを、わざわざ書いて教えてあげる必要は、あまり発生しませんよね)
そして、だからこそ知識の呪いが発動し、読み手の気持ちに寄り添った文章が書きにくくなってしまうのです。
すでに仕事のやり方が分かっている上司は、まだ分かっていない部下の気持ちを察しにくくなりますし、
すでにExcelという存在を知っている人は、まだExcelという存在自体をよく知らない人の気持ちを察しにくいのです。
しかし、知識の呪いを超えていくことこそが、分かりやすい文章を書くということに直結しているため、避けては通れません。
そこで今回は、ご自身の知識の呪いを意識し、それを超えていく訓練をいたします。