以下は、実際と同様の形式で作成した添削例です。課題をクリックして開いてみてください。
<背景>
これまで農協経由で出荷していましたが、直販に切り替えて利益率を上げたいと考えています。まずは東京都内の青果店・スーパー20店舗に一斉メールを送り、5月15日〜17日の3日間で、できるだけ多くの担当者と【商談の約束】を取り付けることが目的です。
→ 一斉配信なので、特定の店だけに刺さる内容ではなく、どの店にも通用する汎用的な文面にする必要があります
→ 「何を売りにするか」の判断も、この課題に含まれています
文中のマーカー部分講師コメント×このように、マーカー部分をクリックすると講師コメントが表示されます。をクリックすると、講師のコメントが表示されます。
●●店 ご担当者様
突然のメール、大変失礼いたします。
私は北海道でメロンを栽培しております芽論太郎と申します。
このたび、東京での販売を開始したいと考えており、ご連絡いたしました。
当農園が誇る最高品質のメロンです。有機栽培にこだわり、一つ一つ丁寧に育てております。味には絶対の自信があります。講師コメント×「最高品質」「自信があります」はどちらも書き手の主観で完結している印象です。あなたのことをまだ知らない読み手は、主観的な表現だけでは価値判断が難しいです。主観的・あいまいに提示するのではなく、できれば具体的・客観的な記述も添えてあげましょう。
つきましては、5月15日から17日の3日間、東京に参りますので、ぜひ一度お会いしてお話しさせていただけないでしょうか。講師コメント×現状の依頼の仕方ですと、読み手が自分で確認し、決断しなければいけないことが多いです。何時から何時まで会えるのか? どう返信すればいいのか? 具体的にはどこで会うのか? 不明点が多い状態です。もう少し具体的な情報を提示し、読み手の認知負荷を減らし、返信のハードルを下げてあげましょう。そうすると返信率が高まりやすいため、結局、書き手にとってのメリットにもつながります。
お忙しいところ恐れ入りますが、ご検討いただけますと幸いです。
何卒よろしくお願いいたします。
講師コメント×このメールには署名がありません。できれば、初対面の相手に送るメールでは、末尾に署名(会社名・氏名・住所・電話番号・メールアドレスなど)を記載しましょう。署名があると、「この世に本当に存在する会社・人物なんだ」という存在の重力が生まれやすくなり、信頼感が格段に高まります。
まず件名から見ていきましょう。
この件名を読んだとき、読み手はどんな印象を受けるでしょうか。
多くの人は、楽天やAmazonなどから届く「お客様向け販促メール」のようなものを連想するのではないかと思います。「○○農園から」「お願い」という組み合わせが、個人消費者向けの宣伝(B2C)に見えてしまうのです。
おそらく読み手にもご経験があるはずです。「花を買って」「プリンを試して」「チーズを食べてみて」— そういった販促メールが日々届くなかで、同じカテゴリに見えてしまうと、開封すらされないリスクがあります。
今回の目的は、店舗責任者への商談の依頼(B2B)です。であれば、件名の段階で「企業間のビジネスの話ですよ」とほのめかしてあげましょう。
たとえばこのように、「ご商談」という言葉を入れてあげるだけでも、少なくとも「個人向けの宣伝メール」には見えなくなります。日付情報を添えることで「具体的な用件がある」ことも伝わり、開封率が上がるはずです。
そもそも開封してもらわないと、どんなに良い本文を書いても読んでもらえません。件名は「メールの玄関ドア」です。その時点で「迷惑メールの一通」にまぎれてしまわないよう、メールの文脈を早めに開示してあげましょう。
次に、メロンの紹介部分を見て参りましょう。
「最高品質」「絶対の自信があります」 — 書き手の強い気持ちは伝わるのですが、どちらも書き手の主観です。
読み手(販売店の責任者)は、仕入れの判断をするにあたって「最高品質」「自信がある」という言葉だけでは動けません。何と比べて最高なのか、自信の根拠は何なのかが分からないからです。
たとえば50万円かかるのと1万円しかかからないのでは、「高額」という言葉の意味合いが変わってくるのと同じで、「最高品質」の中身も人によって伸び縮みします。
ここは、客観的な事実や数字も添えてあげましょう。
このように書けば、読み手は「百貨店で扱われている品質なのか」「リピーターがいるのか」「価格帯はこのくらいか」などと、自分で価値判断できる材料を手にすることができます。
主観的な表現を、具体的な事実に置き換える。ビジネス文章に限らず日常会話でも大事なことですので、意識してみましょう!
アポイントの部分を一緒に見ていきましょう。
「5月15日から17日の3日間」とだけ書かれていますが、読み手はたくさんのことを自分で考えなければなりません。
・何時から何時まで会えるのか?
・1回あたり何分くらいの面会なのか?
・どういう風に返信すればいいのか?
・第何希望まで知らせていいのか?
・それぞれ何曜日なのか?
実は、曜日の情報も重要です。読み手は「水曜なら午後が空いているな」「金曜は会議が…」と、自分のスケジュールと突き合わせて候補を考えます。曜日がなければ、わざわざカレンダーを開いて確認する手間が発生します。その一手間が「あとで返信しよう」→ そのまま忘れる、につながるのです。
忙しい店舗責任者にとって、「考える」こと自体が負担です。「あとで考えよう」と後回しにされたメールは、そのまま忘れられることがほとんどです。
こうすると、読み手は「この中から30分を選んで返信するだけでいい」とわかるので、返信のハードルが大きく下がります。
日付の横に曜日を添えることで、読み手はカレンダーを開かずにその場で「木曜の午前なら空いてる」と判断できます。「30分ほど」と書くことで、時間帯全体を空けるのではなく30分だけでよいと伝わります。返信の例文(「5月16日(木) 14:00〜」など)を添えれば、どう返信すればいいかも一目瞭然。「最大3つまで」と候補数の上限を示すことで、「いくつ書けばいいのかな」という迷いもなくなります。
●●店 ご担当者様
初めてご連絡いたします。北海道夕張郡で○○メロン農園を営んでおります、芽論太郎と申します。
貴店のお客さまに喜んでいただける商品ではないかと考え、ご連絡いたしました。
当農園の赤肉メロンは糖度16度以上・完熟収穫にこだわり、昨年は札幌の百貨店2店舗でお取り扱いいただきました。1玉3,200円〜の価格帯で、贈答用を中心にリピーターのお客さまにご好評いただいております。
つきましては、5月15日(水)〜17日(金)に東京へ参ります。下記の日時の中から、面会可能な時間をご指定いただけないでしょうか。当日は30分ほど頂ければ幸いです。
また、試食用のメロンをお持ちいたします。
5月15日(水) 10:00〜12:00 / 14:00〜17:00
5月16日(木) 10:00〜12:00 / 14:00〜17:00
5月17日(金) 10:00〜15:00
ご都合のよい日時を、最大3つまで、このメールへのご返信でお知らせいただけますと幸いです。
(例:「5月16日(木) は14:00以降ならいつでも、5月17日(金) 10:00〜11:30、5月15日(水) 10:00〜11:00のあいだ」など)
上記以外の時間帯も調整可能ですので、お気軽にお申し付けください。
お読みくださりありがとうございました。
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○○メロン農園 代表 芽論 太郎
〒069-XXXX 北海道夕張郡△△町□□ 123-4
TEL:01XX-XX-XXXX
E-mail:t.yamada@xxxx-melon.example.jp
Web:https://www.xxxx-melon.example.jp/
X:@XXXX_melon / Instagram:@XXXX_melon_1234
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今回、メール全体の丁寧さや誠実さのトーンが、とっても素晴らしかったです!誤字脱字、表現の乱れもなく、わかりやすく書いてくださっていましたね。
ただ、営業メールに限らず「相手に何かを頼む文章」で大切なことは、読み手がアクションしやすい状態を成立させることです。今回の文章は「書き手側の都合」のほうが前面に出ていた印象があります。読み手側の視点から、読み手が読んでアクションを取りたくなる文章としては、改善点があると感じました。
具体性・客観性を文章に宿しつつ、読み手が価値判断しやすくなる状況を整えつつ、アクションを取りやすい指示もしてあげる。こういったことは営業メールの基本ですが、これを実践できている人は実はそれほど多くはないんです。読み手の側から考えることって、相当に難易度が高いことだからです。
今後は、添削を通じて、「読み手の立場」から考える訓練を、一緒にしていきましょう!
ともあれ今回、この難しい課題に真正面から取り組んでくださって嬉しかったです。
素晴らしい取り組みを見せてくださり、ありがとうございました!
2026年3月中に追加予定です
2026年3月中に追加予定です